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My name is
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わたしの母は、自分の名前が嫌いだという。それもその筈、違う名前で出生届を受理されてしまったらしい。役人に、“ち”を“つ”と読み間違えられて、彼女はその名前のまま今に至る。赤の他人を恨んではいけない。

なぜ女性は結婚すると名前を変えなくてはならないのか、子供の頃から不思議でならなかった。小学生のときは好きな人の苗字と自分の名前をくっつける、そんなゲームを女子はしていた。そのころは単なる純粋な気持ちで。

去年、区役所の住民票に「旧姓」を載せる手続きをした。私が事業主と証明をする為提出した書類は全部旧姓。事業を17年継続している“私”という人物と、結婚した現在の“私”が結びつかないらしい。電話では旧姓を抹消しないと手続きができない、申請が認められない、となったので、役所で“私”という“あなた”が同一人物である証明をせよ、ということに。憔悴する私を見たお役所の方は不憫に思ってか「住民票に旧姓を併記できるようになりましたよ」と教えてくれた。何も知らなかった私は「このまま旧姓を載せないとどうなりますか」と聞いてみたら、「今の法律ではご本人と証明できないかもしれません」

“私”が消されないように、パスポートはずっと旧姓のままにしていた。このままでは出国できないけど、旧姓が併記になるまで待とうと思っている。

結婚に愛情があれば我慢できる、そんな問題ではないと思う。サインしたその日から公的書類には見慣れない名前。いきなり何かの台本を渡されて、その役を与えられたかのように、呼ばれたらすぐ立ち上がらなければならない。

愛があれば、、、受け入れることができる?旧姓を捨てないのは愛が足りない、、、?

男に依存せずに自立せよと育てられたのに、結婚したら女性は名前を捨てなければいけない。新しい名前の違和感はまるで、小学生の頃にお邪魔したお宅のスリッパや洗面タオルに刺繍してあるアレみたいな。ジョルジオバレンチノ、ジャンニバレンチノ、マリオバレンチノ、バレンチノジョバンニ、ルドルフバレンチノ、、、おお、スリッパよ、お前は一体、誰なんだ。

モーツァルトが聴きたくなってきた。

親が私たちの誕生を楽しみに授けてくれた名前は“わたし”という言葉以外にあなたを表現するもの。この世に一つとして偽物はないのです。

現代の個人や企業にとって、名前は一番価値のあるものだと、わたしはつくづく思うのです。

追記)今年の4月からパスポートは旧姓併記が可能になると、2020年12月に発表があった模様。